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これからの鳥類学
The Directions in Ornithology
山階鳥類研究所名誉所長 理博 山岸 哲・
東京大学名誉教授 農博 樋口広芳 共編
A5判上製/528頁/定価7150円(本体6500円+税10%)/2002年7月発行
ISBN 978-4-7853-5838-9 (旧ISBN 4-7853-5838-6)
C3045
日本における鳥類の研究は、近年、ますます活発になってきている。大学や国公立・財団等の研究所はもとより、それらの機関に所属しない個人やグループ、また環境アセスメントやコンサルタント関係の会社組織においても、優れた研究が活発に行われるようになってきている。
進展の著しい鳥類研究のなかで、とくに生態・行動・生理・進化・保全などの分野に焦点を当て、第一線で活躍する研究者たちが鳥類研究の現状と未来を展望する。
日本鳥学会90周年記念出版,日本図書館協会選定図書
第 I 編 鳥類のコミュニケーション
1.鳥のコミュニケーションと信号 [岡ノ谷一夫]
第 II 編 鳥類の生活戦略
2.鳥類の生活史戦略 [永田尚志]
3.オオセグロカモメはなぜ3卵しか産まないのか −生活史戦略研究の生理的基盤− [綿貫 豊]
4.海鳥の採食戦略 [森 貴久]
第 III 編 鳥類の繁殖と社会
5.鳥類の繁殖とホルモン [和田 勝]
6.鳥類の営巣様式の多様性 −集団営巣から単独営巣まで− [藤田 剛]
7.鳥類における乱婚の意義 [中村雅彦]
8.数理生態学と鳥類学 −托卵を題材にして− [高須夫悟]
第 IV 編 鳥類の群集
9.森林性鳥類群集の多様性 [日野輝明]
10.景観の多様性と鳥類群集 −河畔林の鳥類群集− [村上正志]
第 V 編 鳥類学への物理・化学的手法の導入
11.鳥類の食性解析と安定同位体測定法 [松原健司]
12.鳥類学における分子手法の適用 [西海 功]
第 VI 編 鳥類の系統と進化
13.鳥類と系統学 [由利たまき]
14.島の鳥類の適応放散 [山岸 哲]
第 VII 編 鳥類の保全
15.農業生態系における鳥類多様性の保全 [藤岡正博・吉田保志子]
16.移入鳥類による鳥類群集の攪乱 [江口和洋]
17.渡り鳥の衛星追跡と保全への利用 [樋口広芳]
第 I 編 鳥類のコミュニケーション
1.鳥のコミュニケーションと信号 [岡ノ谷一夫]
1-1 はじめに
1-2 コミュニケーションとは
1-3 信号の起源
1-4 信号の進化
1-5 視覚次元
1-6 聴覚次元
1-7 動物の心
1-8 これからのコミュニケーション研究の課題
第 II 編 鳥類の生活戦略
2.鳥類の生活史戦略 [永田尚志]
2-1 はじめに
2-2 生活史の進化の理論的発展
2-3 生息環境と生活史形質
2-4 熱帯鳥類の生活史形質
2-5 生活史パラメーターと生命表
2-6 ふたたび一腹卵数
2-7 ワイタム林のシジュウカラの一腹卵数
2-8 配偶システムと生活史戦略
2-9 生活史研究の今後
3.オオセグロカモメはなぜ3卵しか産まないのか −生活史戦略研究の生理的基盤− [綿貫 豊]
3-1 はじめに
3-2 産卵時のタンパク質蓄積と一腹卵数
3-3 補充産卵と雛への給餌
3-4 繁殖開始時のエネルギー蓄積と繁殖成功
3-5 オオセグロカモメは4卵をうまく抱卵できないか
3-6 オオセグロカモメは4雛をうまく育てられないか
3-7 トレードオフの生理的基盤
3-8 生活史戦略研究の材料としての鳥類
4.海鳥の採食戦略 [森 貴久]
4-1 はじめに
4-2 動物の採食に関わるもの
4-3 潜水性海鳥に特徴的な条件
4-4 おわりに
第 III 編 鳥類の繁殖と社会
5.鳥類の繁殖とホルモン [和田 勝]
5-1 はじめに
5-2 鳥の繁殖と内分泌の枠組み
5-3 自然環境下の野鳥の繁殖生理
5-4 おわりにかえて
6.鳥類の営巣様式の多様性 −集団営巣から単独営巣まで− [藤田 剛]
6-1 はじめに
6-2 集団営巣地形成を説明する仮説の概要
6-3 巣の集中分布は巣場所選択の副産物である
6-4 巣が集中分布すると採食効率が上がる
6-5 巣が集中分布すると婚外交尾効率が上がる
6-6 おわりに
7.鳥類における乱婚の意義 [中村雅彦]
7-1 乱 婚
7-2 貯精腺
7-3 貯精腺の形態、数と大きさ
7-4 貯精の意義
7-5 精子の寿命
7-6 雄の生殖器
7-7 配偶システム
7-8 配偶システムと雄の生殖器
7-9 つがい外交尾
7-10 雌の行動
7-11 父性の判定法
7-12 つがい外受精のパターン
7-13 精子競争
7-14 精子競争の機構
7-15 乱婚を防ぐ雄の行動
7-16 雌にとって乱婚の利益
7-17 雌の戦略
7-18 おわりに
8.数理生態学と鳥類学 −托卵を題材にして− [高須夫悟]
8-1 数理生態学
8-2 鳥類の育児寄生:托卵
8-3 宿主の托卵対抗手段
8-4 数理モデル
8-5 托卵拒否遺伝子は必ずしも固定しない
8-6 Evolutionary Lag説とEvolutionary Equilibrium説
8-7 寄生者の繁殖戦略の違い
8-8 数理モデルの果たす役割とこれからの課題
第 IV 編 鳥類の群集
9.森林性鳥類群集の多様性 [日野輝明]
9-1 森林性鳥類群集の多様性とは
9-2 これまでの群集多様性
9-3 これからの群集多様性
9-4 おわりに
10.景観の多様性と鳥類群集 −河畔林の鳥類群集− [村上正志]
10-1 はじめに
10-2 河畔林の重要性
10-3 河畔林の重要性をもたらす要因
10-4 人為的攪乱と鳥類の多様性
10-5 まとめとして
第 V 編 鳥類学への物理・化学的手法の導入
11.鳥類の食性解析と安定同位体測定法 [松原健司]
11-1 はじめに
11-2 鳥類の生態調査 −食性解析−
11-3 安定同位体測定法の理論と研究例
11-4 今後の発展
11-5 おわりに −今後の課題とともに−
12.鳥類学における分子手法の適用 [西海 功]
12-1 はじめに
12-2 繁殖生態学への応用
12-3 種や亜種の進化学への応用
12-4 オオヨシキリの進化学への応用
12-5 まとめ
第 VI 編 鳥類の系統と進化
13.鳥類と系統学 [由利たまき]
13-1 はじめに
13-2 これまでの鳥類系統学
13-3 系統解析とその手法
13-4 系統解析における注意点
13-5 系統学の応用
13-6 鳥類系統学におけるこれからの課題
14.島の鳥類の適応放散 [山岸 哲]
14-1 はじめに
14-2 島の鳥類の適応放散
14-3 オオハシモズ類の適応放散
14-4 ダーウィンフィンチ類の適応放散
14-5 ハワイミツスイ類の適応放散
14-6 まとめにかえて
第 VII 編 鳥類の保全
15.農業生態系における鳥類多様性の保全 [藤岡正博・吉田保志子]
15-1 はじめに
15-2 なぜ農業生態系で鳥類保全か
15-3 農業近代化の鳥への影響 −研究実例−
15-4 生態学的研究と農業政策
15-5 おわりに
16.移入鳥類による鳥類群集の攪乱 [江口和洋]
16-1 移入鳥類とは
16-2 移入の実態
16-3 形質の変化
16-4 移入種が定着するとどのような問題が起きるか
16-5 移入種にどのように対処するか
17.渡り鳥の衛星追跡と保全への利用 [樋口広芳]
17-1 はじめに
17-2 衛星追跡の仕組みと研究事例
17-3 渡り経路以外の生態情報
17-4 衛星追跡の問題点と今後
17-5 保全への利用
17-6 おわりに
参考文献・引用文献一覧
生物名(和名)索引
生物名(学名)索引
事項索引
編集者・執筆者紹介
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山岸 哲
やまぎし さとし
1939年 長野県に生まれる。信州大学教育学部卒業。信州大学助手、大阪市立大学講師・助教授・教授、京都大学教授、山階鳥類研究所副所長・所長などを歴任。元 兵庫県立コウノトリの郷公園園長、元 日本鳥学会会長、元 応用生態工学会会長。主な著書・訳書に『日本書紀の鳥』(共著、京都大学学術出版会)、『Birds Note(バーズノート)』(信濃毎日新聞社)、『オシドリは浮気をしないのか』(中公新書)、『デイビス・クレブス・ウェスト行動生態学 』(共訳、共立出版)などがある。
樋口 広芳
ひぐち ひろよし
1948年 神奈川県に生まれる。宇都宮大学農学部卒業、東京大学大学院農学研究科博士課程修了。東京大学助手、米国ミシガン大学動物学博物館客員研究員、(財)日本野鳥の会・研究センター所長、東京大学教授などを歴任。慶應義塾大学大学院特任教授、元 日本鳥学会会長、同 名誉会員。主な著書・訳書に『鳥の渡り生態学』(編著、東京大学出版会)、『鳥博士と天才カラス』(文一総合出版)、『鳥ってすごい!』(山と溪谷社)、『鳥たちの生態学』(朝日新聞社)、ワイナー著『フィンチの嘴』(共訳、早川書房)などがある。
(情報は初版刊行時のものから一部修正しています)
これからの爬虫類学
これからの両棲類学
(品切れ中)
マダガスカルの動物
動物の生態
動物の系統分類と進化
動物行動の分子生物学
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