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Shokabo-News No.344 2018/5/28
裳華房メールマガジン 2018年5月号
https://www.shokabo.co.jp/m_list/m_list.html
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★目次★
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【1】新刊案内『法則がわかる 力学』『有機反応・合成』
【2】近刊案内『量子ウォーク』『ゲノム編集の基本原理と応用』
【3】連載コラム 裳華房 編集子の“私の本棚”
(54):『微分方程式の解法』(吉田耕作 著,岩波書店)
(55):『失敗の本質』(戸部良一 ほか共著,中公文庫)
【5】お知らせ&編集後記(裳華房フェアのご案内)
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【1】新刊案内(2018年5月刊行)
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●『法則がわかる 力学』
https://www.shokabo.co.jp/mybooks/ISBN978-4-7853-2261-8.htm
遠藤雅守 著/192頁/定価(本体2200円+税)/2018年5月発行/
裳華房/ISBN978-4-7853-2261-8 C3042
大学初年級を対象とした力学の入門書である.
本書の最大の特徴は,問題を解くことで力学の諸法則への理解を深める,と
いう進め方にある.近頃は物理学が一種の暗記科目になってしまった,という
著者の危機感が本書を生んだ.読み進めれば,公式の丸暗記では容易に解けな
い,ユニークな問題が豊富にあることに気づくだろう.これは,物理を理解し
ているかどうかを判断するには,問題を解かせるのが一番,という著者の信念
に基づくものである.
本書で学んだ皆さんが「物理学は暗記科目ではない」と納得してくだされば
幸いである.
【主要目次】
1.ニュートン力学の前に 2.運動の法則 3.さまざまな力と運動 4.仕事
とエネルギー 5.力積と運動量 6.中心力による運動 7.振動運動 8.慣
性力 9.質点系の運動 10.角運動量とトルク 11.剛体の回転運動
●『有機化学スタンダード 有機反応・合成』
https://www.shokabo.co.jp/mybooks/ISBN978-4-7853-3424-6.htm
小林 進 著/B5判/192頁/2色刷/定価(本体2800円+税)/
2018年5月発行/裳華房/ISBN978-4-7853-3424-6 C3043
「反応」と「合成」は車の両輪のようなものである.本書では,まず官能基
ごとの反応機構を体系的に身につけ,そのうえで炭素骨格の構築法を,さらに
はプロスタグランジン合成の実例を学ぶ.
行き届いた解説や豊富な反応図によって有機反応・合成化学の魅力に触れ,
また章末の演習問題を通して有機反応の“引き出し”を増やすことで,多彩な
有機化合物の合成法を自らのものとすることができるだろう.
【主要目次】
1.有機反応と合成 2.脂肪族炭化水素の反応 3.ベンゼンと芳香族炭化水
素の反応(1)−求電子置換反応− 4.ベンゼンと芳香族炭化水素の反応(2)
−その他の反応− 5.ハロゲン化アルキルの反応 6.アルコール・エポキシ
ドの反応 7.アルデヒド・ケトンに対する求核付加反応 8.カルボン酸誘導
体の反応 9.カルボニル化合物のα位での反応 10.カルボニル化合物の縮
合反応 11.アミンの反応 12.転位反応 13.炭素骨格の形成(1)−炭素
鎖の伸長− 14.炭素骨格の形成(2)−環状骨格の形成− 15.実際の合成
例:プロスタグランジン
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【2】近刊案内(2018年6月刊行予定)
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※詳細は次号のShokabo-Newsにてご案内いたします.
●『量子ウォーク −基礎と数理−』
https://www.shokabo.co.jp/mybooks/ISBN978-4-7853-1576-4.htm
町田拓也 著/A5判/216頁/定価(本体3400円+税)/
裳華房/ISBN978-4-7853-1576-4 C3041
※2018年6月下旬刊行予定
●『ゲノム編集の基本原理と応用 −ZFN,TALEN,CRISPR-Cas9−』
https://www.shokabo.co.jp/mybooks/ISBN978-4-7853-5869-3.htm
山本 卓 著/A5判/176頁/4色刷/定価(本体2600円+税)/
裳華房/ISBN978-4-7853-5869-3 C3045
※2018年6月上旬刊行予定
※本書の電子書籍は2018年夏配信予定です.
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【3】[連載コラム]裳華房 編集子の“私の本棚”(第54回)
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編集部の有志が月替わりで,思い出の一冊やお薦めの書籍などを語ります.
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◆ 微分方程式の魅力 ◆
●吉田耕作著『微分方程式の解法』(岩波書店)
「微分方程式の解の一意性っていうのはね,めちゃくちゃ強い性質なんですよ」
これは私が大学2年生のとき,微分方程式の入門講義を担当しておられた数
学教員の先生が,講義の中で語られた言葉である.
その先生は時々“含蓄ある発言”をされる方で,「微分方程式に“解がある”
ということと,“解ける”ということと,“解く気が起こる”ということは,
全然ちゃいますからね」等とひょうきんな口調で語っておられた姿がとても印
象に残っている.
ともかく,「めちゃくちゃ強い」という表現が気に入った私は,「そこまで
言うのなら調べてやろうじゃないか」と思い立った.しかし,微分方程式の入
門書は世にあふれており,「めちゃくちゃ強い」ことに納得できるような,
“これだ”という本にはなかなか出会えない.そうした中で偶然辿り着いたの
が,この『微分方程式の解法』であった.
本書は,解析学の権威・吉田耕作氏による,微分方程式の本格的入門書であ
る.「解法」と銘打たれているが,いわゆる“微分方程式の解き方の覚書”の
類ではなく,厳密な解析的議論がしっかりとなされており,どちらかというと
かなり理論寄りである.
冒頭でまず,簡単な形の微分方程式について,その意味するところを考察し
た上で,解の存在と一意性定理の厳密な証明が示されている.その後,膨大な
微分方程式の具体例とその解き方を挙げていき,さらには摂動論,偏微分方程
式にまで相当量のページを割いている.それでいて全体の分量が300頁ほどと
いう,まるでドラ○もんの四次元ポケットのような一冊である.
私はこの本を,近所の古書店でたまたま発見して手に入れた.私が購入した
のは1954年の初版のもので,B6判上製に角背という特徴的な見た目に,なん
とも奇異な印象を抱いたことを記憶している.
しかし見た目よりもさらに驚いたのは,本文の文字使いであった.1954年当
時の文章そのままということで,漢字がすべて旧字体なのである.「曲線上の
點(点)」「函數(関数)」「圖(図)に示す」――中でも本文最初の単語
「獨立變數(独立変数)」のインパクトは圧倒的であった.改めて表紙をよく
見ると,タイトルの「微分方程式」の「微」も旧字体になっており,購入の際
に全く気が付かなかった自身の注意力のなさにいちばん驚いてしまう.
『微分方程式の解法』は1978年に第2版が刊行されて以降品切れ状態であっ
たが,2015年にオンデマンド出版で復刊したようである.私が初版を購入した
1年後の話であり,タイミングの悪さに何ともいえない気分になる.
念のために付記しておくが,本の中身そのものは非常に本格的な微分方程式
論であり,先生がおっしゃった通り解の一意性が「めちゃくちゃ強い」ことが
わかる内容となっている.微分方程式の世界に魅力を感じるが,漢字の歴史に
は興味がないという方は,ぜひオンデマンド版をお読みいただければと思う.
(編集者Y)
【今回紹介した書籍】
●『岩波オンデマンドブックス 微分方程式の解法 第2版』
吉田耕作 著/B6判/322頁/定価(本体4800円+税)/2015年6月刊行/
岩波書店/ISBN 978-4-00-730220-6
https://www.iwanami.co.jp/book/b266775.html
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【4】[連載コラム]裳華房 編集子の“私の本棚”(第55回)
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◆ 失敗から何を学ぶか ◆
●戸部良一 ほか共著『失敗の本質』(中公文庫)
こんにちは,編集者のπです.
仕事には失敗がつきものです.私もよく上司に“お目玉”をくらいます.も
っとも,失敗は仕事に限った話ではありませんね.人生のいろいろなことにあ
てはまります.小さな失敗が積み重なっていき,結果として大きな「敗け」に
なっていたということもあるでしょうし,コツコツ勝っていても最後の大きな
失敗でドカンとやられてしまい,やはり「敗け」になってしまったというパタ
ーンもあるでしょう.
野球の試合と同じです.失敗することもあるけれど,9回裏まで試合はあり
ます.いかに軌道修正し,形勢を立て直し,トータルで「勝ち」に持っていく
かが大切と感じています.また,はじめから勝てないとわかっていて,やむを
得ず挑んだ場合でも「戦い方」や「敗け方」の分析は欠かせません.退場しな
い限り,試合は次もあるのですから.
前置きが長くなりました.今回は「日本軍の組織論的研究」という副題のつ
いた『失敗の本質』という文庫を取り上げます.以前から版数をかさねていた
ロングセラーでしたが,小池百合子都知事が2016年の記者会見で「座右の書」
として取り上げてから,ブームに火がつきました.文庫のカバー裏には下記の
ような紹介文が添えられています.
大東亜戦争における諸作戦の失敗を,組織としての日本軍の失敗ととら
え直し,これを現代の組織一般にとっての教訓あるいは反面教師として
活用することをねらいとした本書は,学際的な協同作業による,戦史の
初の社会科学的分析である.
本をひらき,下記の目次をみた瞬間に「この本は名著だ」という直感があり
ました.
序章 日本軍の失敗から何を学ぶか
一章 失敗の事例研究
1. ノモンハン事件──失敗の序曲
2. ミッドウェー作戦──海戦のターニング・ポイント
3. ガダルカナル作戦──陸戦のターニング・ポイント
4. インパール作戦──賭の失敗
5. レイテ開戦──自己認識の失敗
6. 沖縄戦──終局段階での失敗
二章 失敗の本質──戦略・組織における日本軍の失敗の分析
三章 失敗の教訓──日本軍の失敗の本質と今日的課題
第一章では,各事例ごとに作戦の概要や戦況・経過などが詳細に語られ,各
節末に“アナリシス”がまとめられています.自分自身が日本軍側の司令長官
や少将,あるいは米軍側の指揮官に実際になったつもりで,第一章を読んでみ
ました.このような読みかたはかなり疲れたのですが,その分,つづく第二章
と第三章が圧倒的に生きてきます.第二章と第三章が本書を読むうえでの醍醐
味と思いますので,ここで詳しく書くのはやめておきましょう.興味のある方
は,実際に本を手に取り,ご自身の事例に当てはめながら読まれることをお勧
めします.
あなたなら,各局面でどのように判断し,どのように行動するでしょうか.
人生は日々の小さな判断と大きな決断の積み重ねで形作られていきます.歴史
を題材にして,そこから得られる教訓を集団あるいは個人のレベルに落とし込
み,深く考える機会を作ってみてはいかがでしょうか.
【今回紹介した書籍】
●『失敗の本質 −日本軍の組織論的研究−』
戸部良一, 寺本義也, 鎌田伸一, 杉之尾孝生, 村井友秀, 野中郁次郎共著/
文庫判/415頁/定価(本体762円+税)/1991年8月刊行/中央公論新社/
ISBN 978-4-12-201833-4
https://www.chuko.co.jp/bunko/1991/08/201833.html
※本書の初版は1984 年にダイヤモンド社から刊行されました.
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【5】お知らせ&編集後記
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◇お知らせ
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1.訂正表・正誤表や新しい演習問題など「書籍のサポート情報」.
https://www.shokabo.co.jp/support/index.html
2.電子書籍のご案内
https://www.shokabo.co.jp/ebooks/index.html
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◇編集後記(裳華房フェアのご案内)
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今年も全国の大学生協書籍部・書店にて裳華房フェアを開催します.お得な
この機会を是非ご利用ください>下記大学の関係者のみなさま
【東北】
・弘前大学生協 シェリア店 6/18〜7/31
【関東】
・筑波大学 丸善雄松堂 大学会館店 6/18〜7/31
・埼玉大学生協 6/18〜7/31
・千葉大学生協BC 6/1〜7/20
・東京大学生協 駒場書籍部 5/4〜6/13
・中央大学生協 理工店 6/4〜6/30
・上智大学 紀伊國屋書店四谷店 6/11〜7/31
【東海・中部】
・静岡大学生協 静岡店 6/18〜7/31
【関西】
・同志社大学生協 京田辺店 6/18〜7/31
・大阪大学生協 豊中店 6/18〜7/31
・大阪大学生協 工学部店 6/18〜7/31
【中国・四国】
・広島大学生協 北一店 6/25〜8/3
・愛媛大学生協 城北ショップ 6/18〜7/31
【九州】
・鹿児島大学生協 スタディサポート 6/4〜7/20
開催期間は変更する場合がございますので,ご了承ください.
また,秋に予定している店舗もございます.詳しくは秋に配信予定のShokabo
-Newsにてご案内いたします.
(TK)
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次号は2018年6月中旬の配信予定です.どうぞお楽しみに! \\(^o^)//
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